Wallpaper For the Soul

Tahiti80「Wallpaper For the Soul」(2002年9月19日発売)

Wallpaper for the Soul

Wallpaper for the Soul

出会いはやっぱりSPACE SHOWER TVで彼らのアルバムリリースインタビューを見たときだった。まず、インパクトのあるジャケットが目についた。そしてインタビューのバックで流れる不思議で美しい音楽。気になる。何だろうこの人たち?テレビに映る彼らに釘付けになる当時16歳のわたし。結果、すぐにCDを買いに行った。今回はそのCDに入っていたインタビューからいくつか引用。
ノルマンディーの大学で好きな音楽が共通する4人がバンドを組んだのは1993年。メンバーは

  • グザヴィエ・ボワイエ(Vo&G)
  • メデリック・ゴンティエ(G)
  • シルヴァン・マルシャン(Dr)
  • ペドロ・ルスンド(B)

Tahiti80は結成当時から英語で曲を作る。理由は、イギリスの80年代後半から90年代初頭のものや、60年代のギターポップ、ロックが好きだったから。そしてフレンチ・ポップになるのを避けるため。
この、「Wallpaper For the Soul」を作った上でグザヴィエは『自分の国を出て世界を見ることで、自分達の中のフランス人らしさに、もっと気づくようになったよ。他の文化との違いを感じることは、どうして僕らがこういう音楽をするかを理解するのに一役かってくれたと思う。僕らがポップミュージックを聴く耳っていうのは、やはりフランス人ならではのものだと思うんだよ。イギリスの音楽を聴くにせよ、まず言語を学ぶことからスタートしなきゃいけないし、レコード自体も探しまくらなきゃ手に入らないから、努力が必要となるんだよ。そういう意味で僕らは違うプロセスを経てるからこそ、出てくるものが違うと思うんだよね。』と語っていた。
当時の彼らは「ポップなメロディー」と共存させながらも「実験的な変化」を遂げていると称され、『今は「ポップさ」と「音響/アレンジ」のどちらに重きを置いているのか?』とテレビでもCDのインタビューでも聞かれていた。その問いに対して『デザートとチーズどっちにする?って質問されてるみたいだな(笑)どっちも好きだから迷っちゃうよ。僕らの目標は常に素晴らしいポップ・ソングを書くこと。それでいて、モダンで、実験的で、自由で、ソウルを感じられる曲であることも大切なんだ。だから今の僕らの音楽は〝モダン・エクスペリメンタル・フリー・ポップ・ソウル・ソング〟って感じかな。』と答えていた。ソファーか何かに座ってグザヴィエが中心になって語るその様子は今でも思い出せる。

写真の上からピンクや黄緑、くすんだ水色のスプレーをかけたようなジャケット。わたしの勝手な解釈だが、アルバムの内容がこのジャケットに表れているように感じる。リリースからもう8年も経ったとは思えない、ゼロ年代の名作。1曲毎に違う色を見せてくれる飽きさせない1枚。
1曲目「Wallpaper For the Soul」はこれから何が始まるのかとドキドキさせる繊細な曲で、幻想的なアルバムの始まりを見事に表現している。

2曲目の「1,000Times」は心地よいストリングスとドラムから始まりグザヴィエの優しい声がより、この曲を甘くする。

8曲目の「Soul Deep」のイントロはこもった音が遠くから聞こえてくる。それがクリアな音に変わり明るくポップな音楽が始まる。多分アルバムの中で最もポピュラーで聴きやすいのでは、と思う。この曲があまりに好き過ぎて英語の歌詞を自力で和訳したのを覚えている。完成してから歌詞カードの日本語訳を見たら自分の解釈とほぼ合っていてとても嬉しかった気がする。

騙されたと思って3曲もクリックしてくれた方、どうもありがとうございます。いい曲だったと感じてもらえれば嬉しい限りでございます。それでは、よい週末を♪